もう 2024 年を迎えてしまいましたが、2023 年に自分が読んだ、見た、聴いたコンテンツの中で印象に残っているものを振り返っていこうと思います。
積極的に英語に触れるようにしているため英語のコンテンツが多くなりがちですが、もしよろしければお付き合いください。
Books
2023 年はあまり本を読めなかった感覚がありますが、学びのあったものをいくつかご紹介します!
Engineering Team
チームトポロジー
通称チートポ本。4つのチームタイプと3つのインタラクションモードでエンジニアリングチームをモデリングするという考え方を学ぶことができ、チーム構成の解像度が上がりました。
アジャイルプラクティスガイドブック
アジャイルな開発を進めているチームに向けた、超実践的なプラクティス集です。既に知っているプラクティスも多かったですが、ここまで網羅的に構造化したガイドブックは今まで見たことがなかったので非常に頭の整理になりました。そして各種プラクティスの出典がまとめられているので、より詳しく知りたいテーマに関しては参考文献をあたって深掘りするのも良さそうです。
モブプログラミング・ベストプラクティス
モブプログラミングの考え方は、本質的にフロー重視であり、機能を安く作るのではなく、早く完成させることを目標としている。言い換えれば、リソース効率ではなくフロー効率を上げようという考え方だ。
モブプログラミングとは何であるのかを知りたくて読みました。1つの issue にチームで同期的取り組むという特性上、(特にチーム外から)効率が悪いと揶揄されることも多いモブプログラミングというプラクティスについて、どのようなメリットがあるかを知ることができます。
エンジニアのためのマネジメント入門
エンジニアに向けた、マネジメントの全体像を把握することができる良書です。良い意味で広く浅くトピックが展開されているので、より詳しくしりたい分野については他書籍で学ぶのがよさそうです。
この本とあわせて、「エンジニアのためのマネジメントキャリアパス ―テックリードからCTOまでマネジメントスキル向上ガイド」を読むことでマネジメントの解像度がぐっと上がります。この本は、メンターレベルから経営幹部レベルまで、役職ごとに抑えておくべきポイントがまとめられています。
Technology
検索システム
検索システムの全体像を知りたくて読みました。ここまでわかりやすく、かつ網羅的に検索システムについて解説した日本語書籍は他に類をみないのではないでしょうか。非常に良書でした。
出版社のラムダノートさんには興味を唆られるテーマが多く、個人的に推しています。
Web ブラウザセキュリティ
こちらもラムダノートさんの、Web ブラウザのセキュリティにフォーカスした書籍です。
Chrome 拡張機能の実装に関わっている方にもおすすめできる良書です。
手を動かして考えればよくわかる 高効率言語 Rust 書きかた・作りかた
Rust の雰囲気を知りたくて読みました。Python はある程度理解している方にはちょうどよいかと思います。
パフォーマンス観点や Wasm 文脈など、何かと注目を集めがちな Rust についてもっと知識を深めていきたい所存です。
A Philosophy of Software Design, 2nd Edition
邦訳されることはないだろうとされている、言わずと知れた名著です。
この本に関しては色々な方が触れているのでぜひ参考にしてみてください。また後述する fukabori.fm でもこの本に触れた回がありますのでぜひ!
Software Design / WEB+DB PRESS
今年も Software Design や WEB+DB PRESS にはお世話になりました。
WEB+DB PRESS は惜しまれながらも休刊 となってしまいましたが、このような校正されたクオリティの高い技術雑誌は非常に貴重な存在だと思っているので、Software Design は継続されることを願っています。
Others
世界一流エンジニアの思考法
界隈で話題になっていた、米国で働くソフトウェアエンジニア牛尾 剛さんの書籍です。
この本に関しては読書メモ的なポストをしているので、興味があればぜひご覧ください!
説明の一流、二流、三流
Kindle Unlimited でたまたま見かけて読んでみたのですが、想像以上に学びがありました。
MECE に、構造的に説明できる能力は基本として重要ですが、それ以上に相手が求めている情報にフォーカスして「大胆に削ること」が大切である、というのはときに忘れがちな観点なので勉強になりました。
この「一流、二流、三流」シリーズは色々なトピックがあるみたいなので、他のシリーズも読んでみたい。「ソフトウェアエンジニアの一流、二流、三流」みたいな本があっても面白いのかも!
VCの教科書
VC 業界がどのように構成され、どのような力学が働いているのかを理解するのに役立ちました。
フェイスブック流 最強の上司
(原著: The Making of a Manager: What to Do When Everyone Looks to You)
リーダー、マネージャーにおすすめの本です。1on1 やフィードバックを行う際のポイント、信頼関係の築き方、そしてマネージャーとしての自分に向き合うことについて触れられています。
タイトルで損をしている気がしなくもないですが、原著は "The Making of a Manager" で、高い評価を受けている名著です。
「右腕採用力」養成講座
(原著: Who: The A Method for Hiring)
A プレーヤー(=適正のあるスター人材)を採用するためのプロセスについて解説した書籍です。
こちらも原著は "Who: The A Method for Hiring" で、高い評価を受けています。
Newsletters
2023 年はたくさんのニュースレターを購読しました。その中でも、テック業界のトレンドを掴む上で非常に参考になったニュースレターをいくつかご紹介します。
The Pragmatic Engineer
The Pragmatic Engineer | Gergely Orosz | Substack
ソフトウェアエンジニアやエンジニアリング関連マネージャーにおすすめのニュースレターです。テクノロジー業界で起きている出来事や、トレンドについての知識をインプットできます。
What's Hot in Enterprise IT/VC
What's Hot in Enterprise IT/VC | Ed Sim | Substack
boldstart ventures の Founder/General Partner である Ed Sim のニュースレターです。
ソフトウェア業界に造詣が深く、トレンドについて毎回簡潔にまとめられているので、キャッチアップするのに最適です。
Bytes
Bytes - The Best JavaScript Newsletter
JavaScript の情報をキャッチアップしています。
Podcasts
徐々にスキマ時間に Podcast などの音声コンテンツを摂取するのが習慣化してきたように感じます。いくつかお気に入りの番組を紹介します。
fukabori.fm
毎回多様なゲストをお迎えして、技術的な話題を深掘りしてくれる @iwashi86 さんの Podcast です。
面白いエピソードばかりですが、1つ挙げるとするならば twada さんをゲストに迎えた "A Philosophy of Software Design" 回は非常におすすめです。
Lenny's Podcast
Lenny Rachitsky の Podcast です。更新頻度が高く全てを聴けているわけではないですが、プロダクトリーダーたちとのインタビューを聴くことができます。
GitHub の CPO をゲストに迎え、ソフトウェア開発における AI の未来について話した回は必聴です。
また、Lenny's Newsletter もプロダクト開発に携わる方にとっては秀逸なコンテンツばかりなので、興味ある方はぜひ!
The Diary Of A CEO
Steven Bartlett の Podcast です。こちらも毎回多様なゲストを迎え、話を深堀ってきます。 Lenny's Podcast に比べ、より他業種のエキスパート (医者や科学者、YouTuber など) をゲストに迎えており、視野を広げるのに最適です。
直近だと、Airbnb 創業者 Brian Chesky 回が非常に熱かったです。
TV Shows
Super Pumped
Uber を題材にしたドラマです。ジョセフ・ゴードン=レヴィット演じる Uber CEO のトラビス・カラニックがカリスマ的な経営の才を持ってして周りを振り回し、暴れまわるお話です。
Succession
世界的なメディア王ルパート・マードックをモデルにしたと言われている、強大な権力を持つ一家の後継者争いを描いたドラマです。たしか米 VC 界隈で話題になったとどこかで耳にして見始めたのですが、見入ってしまいました。
ビジネス的にも学べることが多いです。SUITS とかが好きな人は結構好きだと思います。
TypeScript Origins: The Documentary
TypeScript がどのように発展していったかを取材したドキュメンタリーです。
TypeScript を開発するに至った背景や、開発者たちの視点、オープンソース化への挑戦、そしてそれを支えるコミュニティについて触れられています。
さいごに
最後まで目を通していただきありがとうございます。
2024 年は日々のインプット、およびプロダクト開発 (Quden というサービスを開発しています) を継続しつつ、対外的な発信も意識していきたいと思っています。
X (@yuki_ota_) もやっていますので良かったらぜひフォローをお願いします。